こんにちは、かじです。
今回は足首の怪我についてまとめてみました。
足首が痛いと言っても、どこが痛いかによってその後の治療が変わります。私達医者がどうやって原因を突き止め、どんな治療をしているのかを公開する事で少しでもお役に立てればと思います。
なお、この記事ではそれぞれの怪我についてまとめるのが大きな目的です。ですから、もっと詳しく知りたい方のために、部位別の記事も随時アップしていく予定ですので参考にして下さい。
それでは、この記事を読んでいるあなたの能力が最大限に発揮され、所属するチームに貢献できるように祈りながら進めていきます。
目次
足首の痛みと腫れの部位によって何が変わるのか?
ここでは、まず足首の構造についてお話しします。とても大切な話ですが、そんな事よりも自分の痛い部位についていち早く知りたいという方は読み飛ばしてもらって構いません。
足首の怪我をして、痛い部位と腫れている部位はだいたい同じです。そして、その部位がどこかで一瞬にして何が起きているのか分かる事もあれば、詳しく検査しないと分からない事もあります。
なぜ私達医者が痛い部位にこだわるかというと、足首の何が壊れたのかを知りたいからです。それを知る為には、正常の足首はどんな構造になっているのかを知らなくてはなりません。
私達の足首は、骨、靭帯、腱、軟骨、神経、血管・・・などで作られています。個人差はあるものの、だいたいそれがある場所は決まっているので、痛い部位を知る事で怪我によって何が痛んでしまったかを知る為には、何より先に痛い場所が重要なのです。
参考記事
▶足首の捻挫と骨折の違いとは?足首の骨や靭帯などの基本構造を医者が徹底解説
▶足首の内反捻挫や外反捻挫ってどういう意味?医者が足首の動きを詳しく解説
足首の痛みが外側くるぶしの場合の原因と治療とは?
足首の痛みで一番多いのが外側のくるぶしです。おそらく、全てのスポーツの怪我の中でもトップ3に入ります。
怪我の状況としては、いわゆる内返し捻挫というやつで、それがひどくなると骨折してしまう事もあります。
つまり、足首の外側が痛い場合は、
- 捻挫
- 骨折
を疑います。
しかし、意外と知られていませんが、捻挫=靭帯損傷なので痛めた靭帯によって対応が変わります。外側にはいくつかの靭帯があり、医者は触っただけでどこの靭帯が痛んでいるかだいたいわかります。
そして、捻挫と骨折では全く対応が変わるのでここは間違える訳にはいきません。捻挫と思っていて2週間後に病院に行ってみたら骨折だったなんていう事もあり、注意が必要です。
参考記事
▶足首捻挫で外側のくるぶしが腫れた!!医者が内反捻挫を詳しく解説
▶足首の捻挫だと思ったら骨折だった!!医者が外果骨折と内果骨折の違いを徹底解説
▶足首捻挫の治療を2週間しても治らない時の対処法とは?医者が脛腓靭帯損傷を解説
足首の痛みが内側くるぶしの場合の原因と治療とは?
足首内側の痛みは上記と反対の動きで怪我をします。つまり、足首の外返し捻挫の方向です。
こちらも大まかには、
- 捻挫
- 骨折
を疑います。
しかし、足首内側は外側に比べて複雑な構造で、内側のくるぶしの後方には足の指を動かす腱が通っていたり、くるぶしの下には神経が通っていたり。捻挫や骨折が原因で、そういった腱や神経の問題が起きる事もあるのです。
ですから、ただの捻挫だと思っていても、実は違う原因で長い間悩まされていたという例もありますので、何かおかしいなと思ったら、私達に相談してみて下さい。
参考記事
▶足首内側の靭帯を捻挫した痛みについて医者が外反捻挫を詳しく解説
▶足首を捻挫したと思ったら骨折だった!!外果骨折と内果骨折とは
足首の痛みが前側にある場合の原因とは?
足首の前側が痛い場合は骨の問題である事が多いです。特にサッカーのような足を酷使するスポーツでは、少しずつ骨が変形してきて引っかかってしまうのです。(※これをフットボーラーズアンクルと呼びます。)
このように、出っ張った骨が引っかかり周りの脂肪などを挟んでしまうものをインピンジメント症候群と呼びます。前側のインピンジメントは通称、前方インピンジと言います。
この骨の出っ張りを骨棘(こつきょく)と呼びます。
参考記事
足首前方インピンジ
足首の痛みが後ろ側にあってジョギングもできない場合とは?
続いて足首後方の痛みについてです。
足首の後方は複雑な構造です。痛みの原因としては、
- アキレス腱
- 後方インピンジメント症候群
- 長母指屈筋腱炎(足の指を動かす腱)
などです。ちょっと難しい感じですよね。
このどれもが自分では対応できないものなので、足首後方が痛くなった場合は早めに病院で診断してもらい治療する必要があります。
参考記事
▶アキレス腱の痛みで朝のランニングができないのは痛風のせい?治療と対処法を医者が解説
足首後方の痛みについて
足首の痛みと腫れに突然おそわれ歩けない時の原因とは?
先ほど、足首前方の痛みは骨棘によるインピンジメントについて解説してきました。
この骨棘が折れて関節内を動き回ってしまう事があり、それを関節遊離体(関節ねずみ)と呼びます。そして、関節ねずみがある場所で挟まってしまい、足首が動かせなくなることをロッキングと言い、取り除く手術が必要です。
サッカー界のキングカズもこれで手術していますよね。
関節ねずみはそこにあるだけでは痛くもかゆくもありませんが、一度挟まってしまうとどうにも動かせなくなります。まさにロッキングされてしまいます。
その他にいきなり足首が痛くなって赤く腫れたら痛風の可能性もあるので、そんな場合は病院で相談してみましょう。
普通は痛風というと生活習慣病のように肥満な人がなるというイメージがありますが、そうとは限りません。だからこそ盲点になっているので、万が一足首が赤く腫れたら疑ってみて下さい。
参考記事
関節ねずみとは?
▶アキレス腱の痛みで朝のランニングができないのは痛風のせい?治療と対処法を医者が解説
足首の痛みと腫れがある場合の応急処置とは?
足首に限らず、怪我をしてすぐの応急処置は大切です。その対応によって怪我の治る期間が変わってしまう事もありますので。
怪我の応急処置の基本はRICE処置と呼ばれます。
自分自身が怪我をした時はもちろん、チームの仲間が怪我をした時にも自信をもって処置してあげれば早く復帰できてチームにとってはプラスです。
ぜひ正しい処置の方法を学んでおきたいものです。
参考記事
▶足首捻挫の痛みと腫れへの応急処置とは?医者がRICE処置の基本を解説
▶足首捻挫で腫れを減らす意味とは?!RICE処置をさらに詳しく解説
▶足首捻挫は腫れる前に冷やそう!医者が自宅でできるアイシングの簡単な方法を解説
▶足首捻挫で腫れなどの症状への処置でしてはいけない事を医者が詳しく解説
足首の痛みへのテーピングの巻き方とは?
足首を固定する手段としてテーピングは非常に有効です。テーピングの他にもサポーターやバンテージというものもありますが、それらを比較しても固定性はテーピングが最も優れていることが分かっています。
テーピングに関しては、画像では説明しにくく直接会って解説するのが一番ですが、そうもいかないので動画で学んだ後に自分で試してみるのが良いと考えて動画をまとめてみました。
動画で見ると簡単そうに見えても、実際に巻いて動いてみると窮屈な時もあるので、何度か試してみる必要があるでしょう。
参考記事
▶足首捻挫のテーピングの巻き方は簡単なのか?医者のおすすめ動画まとめ
▶足首捻挫で腫れた症状への処置とは?テーピングの巻き方で治療期間は変わる
▶子供の足首捻挫はテーピングするな!!大人とは違う治療の考え方とは?!
足首の怪我から復帰する前にするリハビリを徹底解説
足首の怪我をしてしばらく安静にしていると痛みは無くなってきます。「痛くないし、もう治った!」と言ってすぐに練習を再開するとまた痛めてしまう事が多いです。
そこで、チームの練習に参加する前に別メニューで調整するのが良いでしょう。これをスポーツリハビリテーション(※通称スポリハ)と呼びます。
グランドや体育館で十分に動きを確認してから、自信をもって練習に参加しましょう。
感覚としては、怪我の前よりも体が強くなったと感じるまでは練習に参加するべきではありません。
参考記事
▶くるぶし骨折の治療をリハビリと手術について徹底解説
▶スポーツリハビリをするトレーナーの病院での仕事内容と資格と年収を解説
足首の怪我を予防しレベルアップする方法とは?
足首を一度怪我してしまうともう一回怪我をする可能性が高くなります。それを予防する為にテーピングを巻いたりすることは一般的ですが、それだけでは足りません。
例えば捻挫とは靭帯損傷の事だとお話ししましたが、靭帯が損傷すると単純に靭帯が弱くなるだけではなく、足首のバランスを感じる装置も壊れてしまいます。それによってバランス感覚が低下して怪我をしやすくなってしまうのです。
そこで、バランス能力を鍛えるようなトレーニングをする必要がありますが、実はそのようなトレーニングをすると、怪我の予防だけではなくパフォーマンスの向上にもつながっている事が分かっています。
ですから、リハビリや予防と思ってバカにせず、しっかりとトレーニングをすれば、その後のパフォーマンスアップにもつながっていきます。
参考記事
▶足首捻挫の予防法をスポーツドクターが解説 テーピング以外の方法とは