高校最後の大会前に怪我をした選手

06.162017

この記事は4分で読めます

 

こんにちは、かじです。

 

全国各地で高校総体の予選が始まってますね。

 

高校3年生にとってはこれが最後の総体。場合によっては高校最後の大会となります。

 

そんな大事な大会前にもし怪我をしてしまったら、あなたはどうするでしょうか?

 

 

高校の3年間、毎日毎日部活に明け暮れて、高校生活の全てをかけた最後の大会。

 

みんなと戦うことができる最後の試合。

 

部活の中心選手として活躍が期待されていた自分が、大会の3日前に軽くはない怪我をしてしまったら。

 

 

今回は私が相談を受けた高校生を例に私なりの考え方をお伝えしていきます。

 

 

バスケットボール部キャプテンが手首を骨折した

その日はたまたまあるクリニックで診察していました。そこは、近所の中高生が怪我をしてしまった時に来るクリニック。

 

診察をしていると部活中に怪我をしてしまった中高生が沢山来ます。

 

 

話を聞くと、「今週末から総体予選が始まるから何とかして下さい。」と言う人が続いたので、総体予選が近いことを知りました。

 

 

大抵の人は足首の軽い捻挫なんかで、テーピングをすれば何とか試合はできるレベル。

 

「まだこれくらいで良かったね。」

なんて話をしながら診察を続けていると、ある高校生が右手首をおさえて診察室に入ってきました。

 

 

話を聞くと、彼はバスケットボール部のキャプテンで、部活中に右手から転んだみたいです。

 

そのまま部活を続けようと思ったけど、右手首がめちゃくちゃ痛くて監督に病院に行くように言われたとのこと。

 

 

触ると結構痛がるから、嫌な感じだなと思ってレントゲンと撮ってみると、手首の骨の一部が欠けている状態。骨折ですね。

 

 

「手首の骨が折れてるね。」

そう言うと、彼は無言でいます。

 

「今週末は総体かな?」

と聞くと、彼は静かにうなずきました。

 

しかし、試合に出るのはあきらめていない様子。

 

 

その様子を確認してから私は彼に説明しました。

 

 

試合に出るかは自分で決める

幸い、手首の骨はボキッと折れている訳ではなく、端が欠けているだけなので、痛みに耐えればプレーはできるはず。私はそう考えていました。

 

しかし、骨が折れているので、かなり痛く、人によっては耐えられないでしょう。

 

私も誰にでもこの状態でプレーを許可するわけではありません。

 

 

私は1つずつ説明しました。

 

「まず、普通なら骨折だからギプスをして1か月くらい固定する状態だな。」

 

「そして、固定せずに骨折した場所を動かし続けると、骨がくっつかず、あとあと痛みが取れない可能はある。」

 

「それが分かった上で、どうしても試合に出たいならば、痛みに耐えればプレーはできる。」

 

試合に出るのであれば、最大限のサポートはしよう。」

 

「一応痛み止めも出すけど、骨折の痛みにはあまり効かない可能性が高い。」

 

「そして、テーピングなどをしてもあまり変わらないと思うし、右利きだったら、テーピングをすることでプレーがしにくくなる。やるとしてもサポーターくらいかだな。」

 

 

 

怪我の基本的な考え方

この例で分かるように私は基本的には、試合に出るか出ないかは本人に決めさせます。

 

そして、どちらを選択したとしても最大限のサポートをします。

 

 

勘違いして欲しくないのは、私は試合までに万全の状態に戻すことはできないことも多いです。

 

それに、本人がやりたいと言っても無理な時はそう伝えます。

 

ただ、大事な試合に少しでも出場できる可能性があれば、何とかしてあげたいとは思っています。

 

 

特に今回の場合は、普通の病院に行くと骨折が見つかった時点で、ドクターストップとなってしまうはずです。

 

しかし、仮に骨折の治療が上手くいかなくても試合に出たいのであれば、彼の人生で何を優先するかは本人が決めるべきだ、と私は考えています。

 

 

ですから、無理に試合を続けた場合はどうなるか、それはきちんと話して、それでもプレーすることを選ぶのなら、そこから先はより痛みのない状態でプレーできる方法の相談になります。

 

 

 

全てはチームのために

彼自身の人生にとって、今回の選択が良いことだったかは分かりません。

 

しかし、この怪我で諦めてしまうのか、それとも、この困難を何とか乗り越える方法を必死で探すのか、そこには大きな違いがあると思います。

 

後々、手首に痛みが残ったとしてもです。

 

 

ただ、このような場合、私が必ず最後にこう言います。

「もし、怪我の状態が悪くなって、チームに迷惑がかかると思ったら自分で判断して監督に言いなさい。

 

沢山の選手を見ていると見ていると、試合に出たいというのは彼のエゴである場合も多く、それがチームにとって本当に良いのか、それを十分に考えられていない選手も沢山います。

 

やはりそれでは彼自身のためにも良くないので、困難な状況でもチームを優先させられるメンタル的な強さをこういう怪我を通じて教えてあげる必要もあると考えています。

 

 

その後、彼が試合で活躍できたかはまだ報告がありませんが、彼が悔いなく高校生活を終えることを祈っています。

 

 

という訳で、最近あった出来事で感じたことをそのまま書かせてもらいました。

 

では、高校最後の大会になる人はぜひ悔いの残らないように頑張ってください!

 

 

最後までお読み頂きありがとうございました。

 

 

 

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プロフィール

はじめまして、かじです。私はアスリートを目指していましたが怪我で諦めました。その後、スポーツドクターを志し、現在はアスリートからスポーツ愛好家の方々の怪我を治すのはもちろん、彼らの能力が最大限に発揮されるようにサポートしています。私自身がアスリートを目指していましたし、現在まで多くのプロ選手をサポートしてきたので、スポーツドクターの視点から選手がステップアップするためのヒントをお伝えすることができます。ですから、怪我をしている時はもちろんのこと、怪我をしていなくても私が伝えられることは沢山あるのです。そして、私はアドバイスをする時は、現役時代だけではなくその人の人生全体を見た時にどうするべきかという視点を大切にしています。壁にぶつかったり、行き詰ったりしていて、何かヒントが欲しい時は気軽にお問い合わせ下さい。そうすることできっと前に進めるはずです。 ⇒詳しくはこちら

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