レントゲンとCTとMRIの違いとは?!整形外科の画像検査を医者が徹底比較!!

08.042015

この記事は4分で読めます

こんにちは、かじです。

 

今回は整形外科で行う画像検査の違いについてお話しします。この違いが分かると、病院で何となくしていた検査の目的が分かって、私達医者の話が読む前よりもかなり分かるようになりますので、ぜひ参考にして下さい。

 

それでは、この記事を読んでいるあなたの能力が最大限に発揮され、所属するチームに貢献できるように祈りながら進めていきます。

 

参考記事
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レントゲンとCTとMRIを整形外科はどうやって使い分けるのか?

ケガをした時に行くのはたいてい整形外科です。そこではする検査というのはだいたい決まっていて、主に下の3つです。

 

  • レントゲン
  • CT
  • MRI

 

それぞれには特徴があって、骨を見たいならこれとか、筋肉を見たいならこれとかが決まっていますので私達医者はこの3つを使い分けています。

 

 

では、それぞれの検査の特徴をお話していきましょう。

 

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レントゲンとCTとMRIの中で整形外科で最も多く使うのはどれか?

上でお話しした、

  • レントゲン
  • CT
  • MRI

の3つのうち、整形外科ではひとまずレントゲンを撮影します。

 

その理由は、

  • 簡単
  • 短時間
  • 骨の全体像が分かる

だからです。

 

 

腰のレントゲン

腰のレントゲン

 

 

誤解の無いように言っておきますが、レントゲンはとても大ざっぱな検査です。

 

ですから、大まかな全体像は分かるのですが、詳しい事は分かりません。

 

 

つまり、

  • 完全に骨が折れている
  • 骨が折れている場所
  • 骨がいくつかに割れている

 

そういう誰が見ても明らかな骨折についてはレントゲンでも十分に分かるのですが、

 

  • 骨にほんの少しひび(不全骨折)が入っている
  • 靭帯が切れている
  • 軟骨が傷ついている
  • 肉離れ
  • 内出血の程度

 

等はレントゲンではほとんどわかりません。

そこでそういう時のためにCTMRIがあるのです。

 

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CTの特徴とは?!

CTとは「Computed Tomography」の略です。日本語ではコンピューター断層撮影法です。

 

CTでは放射線を使って輪切りの画像を作る事ができ、それをコンピューター上で再構成して3Dにする事も出来ます。

 

 

腰と骨盤のCT画像

腰と骨盤のCT画像

 

 

内臓の事など色々なものが分かるのですが、整形外科の分野では、

  • 骨折の詳しい形
  • ひびの有無

を見る為に使われます。

 

つまり、CTもレントゲンと同じように骨を調べる為に使われるのですが、

  • レントゲンでは分からないような骨折を探すため
  • レントゲンで明らかに骨折しているがさらに詳細に調べるため

にCTは使われるのです。

※参考 骨折にCTを使う例

 

 

特にバラバラに骨折した場合は、手術前に詳しい状況を確認したいのでCTを撮影します。

 

 

CTは撮影時間が数十秒で終わる簡単な検査です。たいていはその日のうちにすぐに撮影できるはず。(※大きな病院では予約で埋まっていて取れない時もあります。)

 

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MRIが必要な時とは?

さて、最後はMRIです。

 

MRIとは「Magnetic Resonanse Imaging」の略です。日本語では「磁気共鳴画像」と呼びます。

 

レントゲンとCTは放射線を使うのに対して、MRIは磁気使います。

 

それによって水素の配列の乱れを見る…、などの説明は置いておいて、ひとまずCTとは違う事が詳しく分かるとだけ覚えておいてください。

 

 

 

 

MRIが最も精密検査だと思われていますが、全てが分かるわけではありません。

 

  • 靭帯
  • 筋肉
  • 出血
  • 軟骨
  • 骨挫傷

 

など、骨に関してはレントゲン・CTに軍配が上がりますが、骨以外の事が詳しく分かるのでMRIは大変重要な検査です。

 

 

例えば、サッカーの試合中に膝の靭帯を切って、膝がパンパンに腫れているとします。

 

 

膝の靭帯断裂は医者が膝を動かしてみれば大体は分かります。しかし、膝が腫れていて痛みが強い時に動かそうとすると、それこそ地獄のような痛みになるはずです。

 

その様な場合は無理に診察をせずにMRIを撮影するのです。

※参考 膝の靭帯損傷

 

 

たいていの病院のMRIは予約がいっぱいで1週間以上待たされることはよくあります。

 

しかしプロ選手でもない限りは、たとえ1週間待つとしても、その状態で運動する事は出来ないので問題ないと考えます。

 

また、手術になったとしてもある程度腫れが引いてからになるのでこちらの視点からも1週間待つのは問題ありません。

 

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検査による被爆について

レントゲンとCTは放射線を使った検査ですので被爆します。

 

3・11以降、日本人は被爆についてとても敏感になっていて、検査での被爆をめちゃくちゃ気にする人がいます。

 

特にお子さんの場合に多い印象です。

 

 

詳しい説明は割愛しますが、レントゲンで放射線を心配する必要はありません。

 

撮影する場所によっても多少違いますが、レントゲンの被爆は飛行機に乗った時の被爆と同じ程度です。

 

 

しかし、CTの被爆はレベルが違います。

 

これも場所によって違いますが、通常に生活していて浴びる1年分の被爆量を2-3回で浴びてしまう事もあります。

 

 

ですから、手術する前などよっぽどの理由が無い限りはCTは止めておいた方がいいでしょう。

 

逆に心配だからと気軽にCT検査をしたいという方もいますが、良く考えてから撮影した方がいいと思います。私は簡単にはCTを撮らない様にしています。

 

なお、MRIでは放射線を使わないので被爆はしませんのでご安心ください。ただし、20-30分はじっと横になっている必要があるので、お子さんには向かない検査です。


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まとめ

今回は整形外科の画像検査についてお話しました。

 

  • 骨の事はレントゲンとCT
  • その他はMRI

というのが基本路線でした。

 

 

このような知識を踏まえると

医者にも要望を言えたり質問が出来ます。

 

自分の身体は自分で守りましょう。

 

 

 

それでは今回はこの辺で失礼します。

 

 

 

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プロフィール

はじめまして、かじです。私はアスリートを目指していましたが怪我で諦めました。その後、スポーツドクターを志し、現在はアスリートからスポーツ愛好家の方々の怪我を治すのはもちろん、彼らの能力が最大限に発揮されるようにサポートしています。私自身がアスリートを目指していましたし、現在まで多くのプロ選手をサポートしてきたので、スポーツドクターの視点から選手がステップアップするためのヒントをお伝えすることができます。ですから、怪我をしている時はもちろんのこと、怪我をしていなくても私が伝えられることは沢山あるのです。そして、私はアドバイスをする時は、現役時代だけではなくその人の人生全体を見た時にどうするべきかという視点を大切にしています。壁にぶつかったり、行き詰ったりしていて、何かヒントが欲しい時は気軽にお問い合わせ下さい。そうすることできっと前に進めるはずです。 ⇒詳しくはこちら

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