こんにちは、かじです。
今回は腰椎分離症の症状についてお話しします。その中でどのようにスポーツを続けていくのかについてもお話ししていますので、ぜひ参考にして下さい。
それでは、
参考記事
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前回までは、腰の基本的な知識、神経のお話し、そしてヘルニアについて解説してきました。今回からは腰椎分離症(ようついぶんりしょう)についてお話します。
腰痛で悩むスポーツ選手は本当に沢山います。私は幸いにも現役時代に腰痛になった事はありませんでしたが、最近はサッカーをするとだんだんと痛くなる事があります。イヤでも歳を感じてしまいます。
腰はサッカーにおいて足首、膝と並んで怪我の多い場所です。あなたの周りにも腰痛持ちで、「病院に行ったら分離症だって言われた。」なんていう人がいるかもしれません。
分離症は発見が早ければ治る可能性のある怪我です。ぜひ、今回の講座で分離症について学んで、できるだけ早く分離症を疑う事ができる様になって下さい。
それでは始めていきましょう。
目次
腰椎分離症ってどんな感じ?!
腰椎分離症になった人はたいてい、「部活である時、腰がピキッと痛くなりました。」、「休むと痛みが軽くなるので、だましだましプレーしていました。」と言います。
運動中だけ痛み出る人が多く、疲れがたまってくると痛みが出て、プレーを続ける事ができなります。そして、どうしても痛みが我慢できなくて病院に行き、医者に腰椎分離症と診断されます。
さて、このような選手はもっと早く病院に行けば分離症を防ぐ事はできたのでしょうか?
分離症とスポーツ
分離症とスポーツは大きな関わりがあります。日本では分離症の90%が中高生で、その95%がスポーツをしています。
ですから、整形外科の診察室に腰痛の中高生が来た場合、スポーツをしていれば必ず分離症を疑います。
「中高生の腰痛は分離症を疑え!」が鉄則です。ただ、分離症はプレーしている時だけ痛いのも特徴で、病院では痛みは出ません。
分離症は疑うポイントとは?!
分離症を疑うポイントは、
- 中高生
- 一生懸命スポーツをしている
- プレーしている時だけ痛い
でした。ここまでは、選手の話を聞いただけで分かります。
ここからは身体に触わったり押したりして調べる内容をお話しします。それは、
- 腰を反らした時に痛い
- 腰の中央を押したら痛い
です。
・腰を反らした時に痛い
というのは腰に手を当ててグッと身体を反ると痛みが出ます。
・腰の中央を押したら痛い
これは腰骨を直接押したら痛みが出るという事で、正確には棘突起(きょくとっき)と呼ばれるところを押します。ちょうど背中の中央にある骨の出っ張りです。
疲労骨折している所がここを押したらズレるので、痛みが出ます。骨折した部分をグイグイ触るので痛くて当然です。
前回はこんな選手は腰椎分離症を疑え!という症状について解説しました。分離症を疑うのは、
- 中高生
- 一生懸命スポーツをしている
- プレーしている時だけ痛い
- 腰を反らした時に痛い
- 腰の中央を押したら痛い
の5つでした。これらに当てはまる人は病院で検査をしましょう。
しかも、検査は早ければ早い方がいい。なぜなら、分離症は早期発見で治る可能性があるからです。
じゃあ、どうやって早期発見するのか、それが知りたいですよね。
では、その辺の話をこれから始めていきましょう。
腰椎分離症って何だ?
始めに、そもそも腰椎分離症とは何か?という事を確認しておきます。腰椎分離症とは何が分離しているのでしょうか。
言葉通りで腰椎が分離しているのですが、腰椎とは腰の骨でした。そして、分離症の原因は疲労骨折です。
疲労骨折とは、繰り返される運動で骨に負担がかかり、そのうちに骨折してしまうものです。針金を繰り返しグニグニ曲げているとそのうち折れてしまうのに似ています。
つまり、腰椎分離症とは腰の骨の疲労骨折という事なのです。
疲労骨折は治りにくい?
疲労骨折は普通の骨折と比べてなかなか治りません。骨折が治るというのは折れた骨がくっ付く事ですが、疲労骨折はなかなか骨がくっ付かないのです。
中でも腰椎分離症は、骨折してしまったら後では手術しない限りくっ付きません。ですから、運動する度に骨折した部分がグラグラして痛いのです。
疲労骨折は他の場所でも起こります。代表的なのは、
- 足の指
- すね(脛骨)
ですが、これらは骨折したら手術をする事が多いです。
骨がくっ付かないと痛くてプレーできないので脚の場合は手術しますが、分離症の場合は何とかプレーできてしまう事が多いので普通は手術をしません。
けれど、治りにくい骨折だったら、骨折をする前に前兆はないのでしょうか。「そろそろ危ないな。」と分かれば、ずっと腰痛を抱えながらプレーしなくてもよくなります。
骨折の前兆はあるのか?
骨折を調べるには、レントゲンとCTの検査をします。これらの検査では、
- 骨折している
- 骨折していない
の2択を判断します。
そして、骨折の有無を判断する為にこれ以上優れている検査はありません。
しかし、検査で骨折があると分かるのは完全に骨折してしまった後ですから、あとは痛みを抱えながらプレーするしかありません。できれば骨折する前に前兆を知りたいところです。
「あ、そろそろ危ないから気を付けなさい!」とか言ってもらえたら助かります。
そんな夢のような話はあるのかと思われていたのですが、最近はその前兆が分かる様になったのです。
骨折の前兆を調べる検査とは?
検査の発達で骨折の前兆が分かる様になりました。代表的な検査はMRIです。MRIとは磁気を使った検査で、
- 骨折の評価に弱い
- その他の筋肉、靭帯などに強い
などが特徴です。
あれ、「骨折の評価に弱い?」骨折の前兆が分かるって言ってなかったっけ?と思われたかもしれません。しかし、大丈夫です。
疲労骨折などでダメージがある骨の中には炎症がある事が分かっており、その炎症を調べるにはMRIの方がCTよりも勝っているのです。
- 骨折の有無を見るのはCT
- 骨折前の前兆(炎症)を見るのはMRI
と覚えて下さい。
例えば、MRIで骨の中に炎症があるのが分かれば、分離症になりかけています。その場合は運動を中止して2-3ヶ月間、腰をギプスやコルセットで固定します。そうする事で分離症になる事を未然に防ぐのです。
前兆があっても治療しない選手もいる?
分離症を未然に防げて良かった!そう単純に喜ぶことはできません。腰を2-3ヶ月固定する事は大変辛く、途中でイヤになってやめてしまう選手もいます。
中高生ならなおさらです。
しかも、分離症は痛いながらも何とかプレーはできるので、2-3ヶ月も休めないと話すとイヤがる選手もいます。
シーズン中はできるだけプレーをしたいというのが選手の想いです。高校最後の大会などとなればなおさらその思いは強くなるでしょう。結局はそのままプレーを続けて分離症になってしまった。そんな選手も沢山いるのが現状です。
私達の考えを押し付ける事はできないので、とても残念に思う瞬間です。
まとめ
今回は腰椎分離症について解説しました。
- 腰椎分離症は腰の疲労骨折
- 疲労骨折はくっ付きにくい
- 骨折の有無を見るのはCT
- 骨折前の前兆を見るのはMRI
- 選手が休まない事も多い
腰が痛いのはとても辛い事です。
ですから、私達は分離症になりかけていたらなんとか治してあげたいと思います。
できるだけプレーを続けたい気持ちは理解できますが、その後に全力を出せなくなるとしたら、今はグッと我慢して治療を受けるのも勇気ではないでしょうか。
最終的に選択するのはあなた自身であり、私達はその判断を尊重します。
それでは、今回はこの辺で失礼します。ありがとうございました。