子供の足首捻挫はテーピングするな!!大人とは違う治療の考え方とは?!

06.112015

この記事は4分で読めます

こんにちは、かじです。

 

今回は子供が足首捻挫をした時の対処法をお話しします。大人の場合の対処法はこれまでお話ししてきましたが、子供の場合は少し違った対応が必要ですので、この記事でその違いを知ってもらえたらと思います。

 

それでは、この記事を読んでいるあなたの能力が最大限に発揮され、所属するチームに貢献できるように祈りながら進めていきます。

 

参考記事
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試合を優先する選手と親の話

私の診察室に以前こんな親子が来ました。

 

まず小学生が足を引きずって診察室に入ってきてこう言いました。「昨日の試合で捻っちゃいました・・・」

 

明らかに右足首の外側が腫れていて、捻挫っぽいなと思いながらも骨折している可能性も考えて念のためにレントゲンを撮影します。幸いな事にレントゲンでは骨折していなく、右足首捻挫と診断しました。

 

 

どんなに軽い捻挫でも子供の場合は復帰には最低2週間くらいはかけた方が良いので、それについて説明しようと思った時、母親がこう切り出してきました。

 

「先生、実は今週末に試合があります。この子はチームのキャプテンだし、テーピングをして何とか試合に出られないでしょうか!!」

 

 

その子のサッカーのレベルが高ければ高いほど、このような親は多いような印象があります。

 

しかしちょっと待ってください、ケガをした子ども自身が試合に出たいと思っている事は言うまでもありませんが、どちらかというと親は子供が無理をするのを止めるのが役割ではないのかな、と思ったりします。

 

 

こういった時は総合的な状況を考えて、何がその子にとって1番良いのかを判断します。しかし、たいていの場合は私の経験と、この年齢で無理に試合をする事のリスクをお話しすると、試合を休む事がその子にとって最も良いという所に話は落ち着きます。

 

 

もちろん、気持ちは痛いほど分かります!自分だってサッカーに命をかけていました。捻挫くらいで試合は休みたくない、そういう気持ちを経験した事だってあります。

 

しかし、その子のサッカー人生にとって目の前の試合がどれだけ重要か。無理をすることで足首に与えるダメージはどのくらいか。そういった事を天秤にかけると、今は休ませるという判断になる事が多いのです。

 

 

だって、次の試合がその子のサッカー人生の頂点になる事はほとんどないですから。

 

 

今回は私がどんな事を考えてそのような判断をしているのかをもう少し詳しくお話ししていきたと思います。どうか、怪我をした時の参考にして下さい。

 

参考記事

足首の痛みと腫れが外側か内側か前側か後ろ側にあるかで治療が変わる!!医者による足首の痛み部位別まとめ

 

 

 

子供とはいつまでか?その基準とは

では、そもそも子供とはいつまでの事でしょうか。

 

それが分からないと、「子供のうちは○○した方が良い。」なんていう情報を手に入れても、この選手はどっち?と迷ってしまいます。

 

 

例えば、身長なんかは個人差があって、人によっては170㎝の小学生もいれば、150㎝の高校生だっています。ヒゲが生えてくるのにも、人によって様々です。

 

ですから、単純に年齢や体の大きさで子供と決めつけてはいけないようです。

 

 

では、何を基準考えればよいでしょうか。それは、「骨端線」が閉じるまでです。骨端線とは、骨の端にある線の事で、そこから骨が成長し、伸びていきます。

 

そして、高校生くらいになると骨端線は閉じ、大人になるとあと形もなくなってしまいます。つまり、基本的には骨端線が閉じたら背は伸びません。

 

 

という事で、骨端線が閉じるまでは子供と考え、怪我に対しては大人とは違った考え方が必要になります。(※捻挫と診断するときは必ずレントゲンを撮りますから、骨端線の有無はすぐに分かります。)

 

参考記事

▶足首の捻挫と骨折の違いとは?足首の骨や靭帯などの基本構造を医者が徹底解説

 

 

 

子供の捻挫の考え方とは?

捻挫というと、何だか軽い怪我の様に思われがちですが、正式には軽い靭帯損傷の事です。一般的には靭帯が伸びた、という表現をされることもあります。

 

正確には、一部が切れちゃったり、伸びたりしている状態ですが、どちらにしても、靭帯が正常に働かないという事です。(※靭帯は関節を安定させる働きをします。)

 

そして、一度伸びた靭帯は基本的には元に戻らないと言われています。

 

 

しかし、子供の場合は治癒能力が高く、靭帯が元に戻る可能性がある。とも言われています。

 

ですので、子供が捻挫したら基本的には2週間のギプス固定が必要です。そうする事で、少しでも足首の安定性を保ちたいと考えます。

 

 

参考記事
▶足首内側の靭帯を捻挫した痛みについて医者が外反捻挫を詳しく解説

テーピングをして運動するリスク

では、固定しないとどうなるか。詳しい説明は省きますが、おそらく近い将来に足首がボロボロになります。

 

 

誤解の無いように言っておきますが、固定しなくても動かさなければ、問題ありません。しかし、サッカーが大好きな少年が固定しなかったら、少し痛みが無くなったと同時にサッカーを始めてしまうのは目に見えています。

 

ですから、動いちゃダメだよ、という意味での固定でもあるのです。

 

 

そうでなくても、サッカー選手は捻挫を繰り返すことが多く、靭帯が伸びきってしまい、足首がグラグラになっている選手は沢山います。

 

参考記事

▶足首捻挫のテーピングの巻き方は簡単なのか?医者のおすすめ動画まとめ

 

 

 

テーピングをして運動するのは禁止

だから、軽い捻挫だからといって、子供がテーピングをして運動するのは禁止です。2週間固定して再発を防ぎましょう。

 

 

日本サッカー協会も同じ考え方で、地域選抜チームで召集されても、実は2日前に足首を捻挫していたなんて事はよくあります。

 

しかし、そんな時もテーピングやサポーターが必要な状態なら練習させません。子供のうちは勝ち負けより大切な事があるという方針です。

 

 

本当は私達大人が子供の目標はどこか今一度考える必要があります。小学生でピークを迎えて、その後はサッカーをやめると言うなら何も言いません。

 

 

けれど、たいていは高校やプロでもプレーは続けるでしょうし、もっと上達したいと思った時に、邪魔になるようなリスクはできるだけ少なくしてあげたい。

 

 

そして何より、選手を終えた後の方が人生は長いのです。その間、ずっと痛い思いをするのはかわいそうだと思ってしまいます。

 

 

子供の身体を守るのは私達大人の責任です。子供の足と引き換えに試合に勝ちたいのか、と聞かれて「イエス。」と答える親はいないでしょう。

 

是非、今一度チームの監督・コーチ・父母の皆さんとその事について話す機会を作ってみるのもいいのかなと思います。

 

 

それでは、今回はこの辺で失礼します。ありがとうございました。

 

 

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プロフィール

はじめまして、かじです。私はアスリートを目指していましたが怪我で諦めました。その後、スポーツドクターを志し、現在はアスリートからスポーツ愛好家の方々の怪我を治すのはもちろん、彼らの能力が最大限に発揮されるようにサポートしています。私自身がアスリートを目指していましたし、現在まで多くのプロ選手をサポートしてきたので、スポーツドクターの視点から選手がステップアップするためのヒントをお伝えすることができます。ですから、怪我をしている時はもちろんのこと、怪我をしていなくても私が伝えられることは沢山あるのです。そして、私はアドバイスをする時は、現役時代だけではなくその人の人生全体を見た時にどうするべきかという視点を大切にしています。壁にぶつかったり、行き詰ったりしていて、何かヒントが欲しい時は気軽にお問い合わせ下さい。そうすることできっと前に進めるはずです。 ⇒詳しくはこちら

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