捻挫に貼る湿布は温湿布か冷湿布かという論争にここで決着をつけます!!

10.312015

この記事は4分で読めます

こんにちは。

このページに興味を持って頂きありがとうございます。

かじです。

 

今回もお役に立てるように精一杯お話しします。

よろしくお願いします。

 

 

捻挫をして湿布を欲しがる選手

つい先日、サポートしている高校生の練習を見に行きました。

 

いつものようにグランドに行くと、

高校1年生のM君が松葉杖を突きながら近づいてきます。

 

「どうした?」

と聞くと、

 

「昨日、捻挫しちゃいました!

一応、病院でレントゲンを撮ってもらったんすけど、

骨折はしてないって言われました。」

とのこと。

 

 

ふと見ると足首には湿布をしています。

 

「それどうした?」

と聞くと、

 

「昨日行った病院の先生にお願いしてもらいました!」

とあっけらかんと答えます。

 

もしこれが2年生や3年生なら軽く説教です。

ケガをした時の対応は口が酸っぱくなるほど説明しているからです。

※参考 捻挫をした時の応急処置

 

 

捻挫をしたら湿布をするのが当たり前だと思いますか?

 

さて、M君の対応は何がいけなかったのでしょうか。

 

 

 

湿布で痛みが和らぐ理由とは

捻挫をした時の応急処置としては、

氷を使ったアイシングが一般的で、これに勝る方法はありません。

※参考 捻挫をした時の応急処置

 

 

「湿布だって冷えるんだから同じじゃないの?」

と思うかもしれませんが、全然違います。

 

 

そもそも、湿布で痛みが取れるのは冷えるからではありません。

 

「え?どういうこと?」

「実際に冷たい感じがするよ?」

という方はいたって普通の反応です。

 

私の診察室に来る選手もみんなそんな反応です。

 

実際に湿布で冷えるかどうかは次の章に譲るとして、

ここでは湿布で痛みが取れる理由をお話しします。

 

 

 

 

湿布で痛みが和らぐのは、

湿布の中に入っている鎮痛薬が皮膚を通して身体の中に入るからです。

 

もう少し詳しく言うと、

湿布内の鎮痛薬が皮膚近くの細い血管内に入る事で、

痛み止めを飲むのを同じ働きをするのです。

 

 

捻挫は冷湿布で冷やすことができるのか?

 

 

では、ここからが本題です。

 

湿布は冷湿布と温湿布に分かれますが、

それぞれ貼った部位の温度を変えるのでしょうか?

 

つまり、

  • 冷湿布は皮膚温を下げる
  • 温湿布は皮膚温を上げる

作用があるのかという疑問です。

 

 

「当たり前じゃない!」

「冷湿布は冷たいし、温湿布は温かいよ!」

と思いますか?

 

確かにその通りかもしれません。

 

しかし、正確に言うと、

「冷湿布は冷たく感じるし、温湿布は温かく感じる様に作られている。」

ということなのです。

 

 

まだ分かりにくいと思いますので、もう少し説明しますね。

 

 

実は、

  • 冷湿布にはスーッとするハッカのような成分が
  • 温湿布にはカーッとする唐辛子のような成分が

含まれていて、皮膚の表面がそのように感じるだけなのです。

 

 

ハッカの飴を食べると口の中がスーッとしますよね。

唐辛子を食べると口の中がカーッと熱くなります。

 

その感覚を利用して、

冷湿布はさも冷たいように感じるし、

温湿布はさも温かい様に感じるのです。

 

 

ですから、実際にサーモグラフィなどで見てみると、

湿布を貼っても皮膚温は思ったよりも変化していないのです。

 

 

 

捻挫に湿布を貼るのはおすすめできない?!

記事の冒頭で捻挫の応急処置には氷を使ったアイシングが1番と書きましたが、

上のような理由で冷湿布はアイシングの代わりにはなり得ません。

 

ましてや温湿布なんて論外です。

 

 

こんな言い方をしたら誤解されるかもしれませんが、

スポーツをやらない人にとって捻挫は放っておいてもいいケガです。

 

なぜなら、そのうち痛みは取れていくからです。

(※もちろん例外もあります。)

 

しかし、スポーツをしている選手にとっては問題となるのは、

できるだけ早く治して復帰したいからです。

 

 

急がないなら放っておいてもいいけど、

少しでも早く治したいならできるだけの事をやろうよ、とただそれだけ。

 

そして、その方法がアイシングを含めたRICE(らいす)処置と呼ばれる

応急処置をする事なのです。

※参考 RICE処置

 

 

こう言うと、

「湿布は絶対に使わない!」

と言われてしまいそうですが、

使い方を知れば湿布も有効に使えます。

 

その方法をこれからお話しします。

 

 

 

捻挫に有効な湿布の貼り方とは

これまでお話しした様に、

ケガ直後は湿布の効果はほとんどありません。

 

しかし、ひと通り内出血が落ち着いた3日目以降であれば、

湿布を使っても問題ありません。

 

 

選手によっては、

湿布をしたらスッとして気持ちいいと、

痛みが和らぐ事もあるからです。

 

 

「冷湿布と温湿布のどちらを使った方がいいですか?」

というのは、ドクガーがされる質問のトップ10に入っていますが、

 

「正直どちらでもいい。」

というのがドクターの一致した見解です。

 

ただ、そうは言ってもこれに関しても少しだけ説明しておきます。

 

 

 

では、理解を深める為にいったん湿布から離れて下さい。

 

 

 

例えば足首捻挫の場合、

足首は3日目まで徐々に腫れるので、

それまでは腫れを抑える為に冷やし、

その後は腫れた部分の循環を良くして、

溜まった老廃物を取り除くために温めます。

 

ただ、練習の後はまだ熱を持つので冷やします。

 

 

これを湿布に当てはめると、

ケガをしてから3日目までは湿布は使わず、その後は、

運動前は温湿布、

運動後は冷湿布、

ということになるでしょうか。

 

こんな使い分け方、現実的じゃないですよね。


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まとめ

ここまで、足首捻挫に対する湿布の使い方についてお話ししてきました。

 

  • 冷湿布は冷たく
  • 温湿布は温かく

感じるだけで実際の皮膚温はそんなに変わっていないのでした。

 

 

ですから、ケガ直後はアイシングを徹底して、

湿布を使うとしても3日以降にして下さい。

 

 

冷湿布と温湿布ははっきり言ってどっちでも良いのですが、

もし使い分けるとしたら、3日目以降で、

  • 運動前には温湿布
  • 運動後には冷湿布

というのが一応のお勧めです。

 

 

この様に何か疑問があれば直接メールを頂ければ

お答えしていきます。

 

 

 

それでは今回はこの辺で失礼します。

ありがとうございました。

 

 

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プロフィール

はじめまして、かじです。私はアスリートを目指していましたが怪我で諦めました。その後、スポーツドクターを志し、現在はアスリートからスポーツ愛好家の方々の怪我を治すのはもちろん、彼らの能力が最大限に発揮されるようにサポートしています。私自身がアスリートを目指していましたし、現在まで多くのプロ選手をサポートしてきたので、スポーツドクターの視点から選手がステップアップするためのヒントをお伝えすることができます。ですから、怪我をしている時はもちろんのこと、怪我をしていなくても私が伝えられることは沢山あるのです。そして、私はアドバイスをする時は、現役時代だけではなくその人の人生全体を見た時にどうするべきかという視点を大切にしています。壁にぶつかったり、行き詰ったりしていて、何かヒントが欲しい時は気軽にお問い合わせ下さい。そうすることできっと前に進めるはずです。 ⇒詳しくはこちら

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