こんにちは、かじです。
今回は肉離れの治療とリハビリについてお話ししていきます。この治療方法を間違えると再発したりと復帰までに長い時間がかかってしまうので、慎重に正確に取り組みたいものです。
それでは、この記事を読んでいるあなたの能力が最大限に発揮され、所属するチームに貢献できるように祈りながら進めていきます。
参考記事
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目次
太もも裏を肉離れした大学生のその後
前回、練習中に太もも裏を肉離れしてしまった大学生T君についてお話ししました。T君はその後の処置が素晴らしく、怪我をしてから3週間で練習に復帰しました。これはⅡ度の肉離れにとっては、すばらしく早い回復です。
この様に早く回復して復帰する為には一体どのような治療を行ったのでしょうか。
今回は気になる肉離れの治療法を分かりやすくお話ししていきたいと思います。この知識を知っているだけで、回復にかかる時間はかなり短くなるはずです。
参考記事
▶ハムストリングス肉離れの症状と治療期間を軽度と治らない場合に分けて解説!太ももの裏がピキッとなったらどうするのか
肉離れの治療にはどのくらい時間がかかる?
さて、本題に入る前に肉離れについて簡単に復習しておきます。
肉離れの診断にはMRIが最も効果的で、それによって、Ⅰ度とⅡ度に分ける事ができます。(※ちなみにⅢ度まであって、Ⅲ度は筋断裂です。)
- 血管だけが破れている(Ⅰ度)
- 筋肉にダメージがある(Ⅱ度)
となります。
そして、「ストレッチ痛」がⅠ度とⅡ度を分ける最も大きな症状の違いでした。
つまり、太もも裏のストレッチをして
- 痛みがある ⇒ Ⅱ度
- 痛みが無い ⇒ Ⅰ度
と大まかに判断できます。
そして、練習に復帰できる様になるまでの期間は、
- Ⅰ度 ⇒ 1~2週間
- Ⅱ度 ⇒ 4~6週間
くらいが目安です。
もちろん、絶対にこの期間という訳ではなく、リハビリの進み具合によっては、T君の様に、Ⅱ度なのに3週間で復帰できるなんて事もあります。
参考記事
▶足首捻挫の痛みと腫れへの応急処置とは?医者がRICE処置の基本を解説
肉離れから最も早く復帰する治療法とは
さて、ここからが本番です。どうすればできるだけ早く肉離れから復帰する事ができるのかお話ししていきましょう。
(※ここでは、最新の医療については割愛します。
- 高圧酸素療法
- PRP(多血小板血漿)
などは誰にでも利用できるものではないからです。これらについては、別の機会にお話しします。)
話を戻しますが、最も早く復帰する為には、「遠回りをしない」事が最も大切です。
もう少し分かりやすく解説していきます。肉離れは皮膚の内側のケガなので目に見えません。だから、分かりやすくするように目に見えるもので説明していきます。
例えば、擦り傷のあとにできる「かさぶた」がありますよね。あれって、誰にでも経験があると思いますが、最初は傷口からドンドン黄色い液体がしみ出してきますが、そのうち固まってきますよね。そして、いつの間にか「かさぶた」の下に新しい皮膚ができて、十分に治ったところでポロっと取れてしまいます。
何回もこんな経験をした事がある人は思い出して欲しいのですが、この「かさぶた」が治るのにかかる時間って、大体いつも同じだと思いませんか?
私も何回も傷を作ったのでよく覚えてますが、だいたいいつも7~10日くらいで治ってしまっていました。
しかし、たまに長引くこともあって、それはどんな時かというと、
- もう一度擦りむいてしまった
- どこかにぶつけた
- 治っていると思って剥がしてみた
なんて場合です。
つまり、もう一回かさぶたを傷つけてしまった時に長引いてしまうのです。これって当たり前の事ですよね。そして、これと全く同じ事が肉離れについても言えます。
つまり、肉離れの場合は、
- Ⅰ度 ⇒ 血管が修復される
- Ⅱ度 ⇒ 筋肉が修復される
ための時間は決まっており、それまでは強過ぎる負荷をかけずにリハビリを行う必要があります。
よく勘違いするのは、痛くなくなったから治ったと思う事です。かさぶただって、できてしまえば痛くないですけど、動くとピリッとはがれて痛くなる事もあります。それと同じで、痛くないと思って無理に動かすと肉離れも再発してしまいます。
では続いて、できるだけ早く復帰する為には何に気を付けてリハビリをすればよいのか、というお話をしていきます。
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▶ハムストリングス肉離れの症状と治療期間を軽度と治らない場合に分けて解説!太ももの裏がピキッとなったらどうするのか
肉離れから早く復帰する為のリハビリとは
スポーツ選手がするリハビリをスポーツリハビリ、ここでは略して「スポリハ」と呼びます。このスポリハはできるだけ早く復帰する為のリハビリですが、どんな事を意識して行っているのでしょうか。
スポリハには2段階あって、
- 怪我をしたところ(患部)のリハビリ
- 患部以外のトレーニング(患部外トレ)
です。
復帰を急がない時は、
①⇒⇒⇒⇒⇒⇒⇒⇒⇒⇒②⇒⇒⇒⇒⇒⇒⇒⇒⇒⇒
とすれば①患部が治ってから②患部外トレをするので、また肉離れをする可能性が低いという意味では最も安心です。しかし、これだと「⇒」1つを1日だとすると復帰まで10日かかってしまう事になります。
それに対して、スポリハの究極系は、
①⇒⇒⇒⇒⇒⇒⇒⇒⇒⇒
②⇒⇒⇒⇒⇒⇒⇒⇒⇒⇒
という様に①患部のリハビリと②患部外トレを並行して行い、患部が治ったと同時に復帰するという流れです。
とはいえ、まだ走れない状態ではトレーニングがあまりできないので、実際のスポリハのイメージは、
①⇒⇒⇒⇒⇒⇒⇒⇒⇒⇒
②⇒⇒⇒⇒⇒⇒⇒⇒⇒⇒
という感じです。
ここで大切なのは、どのタイミングで②患部外リハを本格的に始めるかの判断です。もも裏の肉離れの場合、いくら患部外リハをどんどんやれと言っても速くは走れないので、患部の回復をある程度待ってからしか、患部外リハも本格的にはできません。
本当はリハビリではどんどん走らせたいのですが、あまり無理をすると肉離れが再発してしまうので、
- いつジョギングを始めるのか
- いつダッシュを始めるのか
という判断はとても大切です。
ただ、それに関しても大まかな目安があるので、これからその目安についてお話ししていきます。
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▶スポーツリハビリをするトレーナーの病院での仕事内容と資格と年収を解説
肉離れのリハビリでジョギングを始めるタイミングとは
前回お話しした内容に、Ⅱ度の肉離れの症状は、
- 押すと痛い
- ストレッチをすると痛い
- 力を入れると痛い
という3点がありました。
基本的にはこの3つの症状が無くなってからジョギングを開始します。
つまり、
- 押しても痛い個所が無くなった
- ストレッチをしても痛くない
- 力を入れる時に誰かに抵抗をかけてもらっても痛くない(膝を曲げる動き)
の状態になったら、始めてジョギングをします。そして、少しずつ走る速度を速めていって、最終的にはダッシュができる様にするのです。
そして、重要なのはトレーニングの次の朝に太もも裏に違和感があったら練習量を落とすという事です。なぜなら、リハビリ中は身体が温まっているので、多少無理をしても痛みが出ない時もあります。しかし、そういう時でも次の日の朝は、その変化をキャッチできるのです。
ですから、もし朝に違和感があった場合は、前日のリハビリの負荷が高すぎたのだと思って、調整しましょう。
参考記事
▶ハムストリングス肉離れの症状と治療期間を軽度と治らない場合に分けて解説!太ももの裏がピキッとなったらどうするのか
まとめ
ここまで、太もも裏の肉離れの治療についてお話ししてきました。大まかな流れはつかめたでしょうか。
そんなにうまいこと調整できるか不安だ、と思うかもしれませんが、この基本的な流れを知っているだけで、リハビリの捉え方が変わって、遠回りしなくて良くなります。
まずは、
- 押すと痛い
- ストレッチをすると痛い
- 力を入れると痛い
の3つの症状が無くなるまではジョギングは禁止で、その後に少しずつ走る速度を速めましょう。もちろん、最初の2~3日は応急処置(RICE処置)を行うのは、言うまでもありません。
そして、次の日の朝の状態で身体をチェックして、違和感があれば練習量の負荷を減らして調整します。
その後、大学生のT君は試合で大活躍し、レギュラーの座を不動のものとしました。そして、その後も肉離れ予防のトレーニングを欠かさずに行い、現在まで肉離れは再発していません。
この肉離れ予防のトレーニングについては、最も効果のある方法が提唱されていて、それに勝る方法は現在のところありません。その方法については別の記事でお話ししていく事にします。
それでは今回はこの辺で失礼します。ありがとうございました。