足首捻挫の治療で痛みが長引く時に考えるべき事とは?医者が脛腓靭帯剥離骨折を解説

10.252015

この記事は4分で読めます

こんにちは、かじです。

 

今回も前回に引き続き、足首捻挫で治療が上手く進まない時に陥りやすい怪我について解説していきます。

 

それでは、今回もこの記事を読んでいるあなたの能力が最大限に発揮され、所属するチームに貢献できるように祈りながら進めていきます。

 

参考記事
足首の痛みと腫れが外側か内側か前側か後ろ側にあるかで治療が変わる!!医者による足首の痛み部位別まとめ

 

 

F君がもう一度ケガをした

前回、病院で足首捻挫と診断されてなかなか治らず、私に相談してきた大学生F君の話をしました。

 

私が脛腓(けいひ)靭帯損傷であると診断した後、彼は約3週間のリハビリを続けて練習に復帰しました。

 

 

順調に回復して試合にも出られる状態になったので、さあこれから調子を上げていこうとしていた最初の試合でのこと。

 

 

また相手のシュートブロックをして右足首の同じ部位がまた痛くなってしまったのです。

 

彼が言うには、「今度はバキッと音がした。」とのこと。

 

 

前回は他の病院でレントゲンでは問題ないと言われていましたが、今回は私のお手伝いしている病院に来てもらい、詳しく検査をする事にしました。

 

参考記事
▶足首捻挫の治療を2週間しても治らない時の対処法とは?医者が脛腓靭帯損傷を解説

 

 

 

足首捻挫以外のケガを考える必要もある

F君にはすぐに病院に来てもらいレントゲンを撮りました。レントゲンでは問題無いように見えます。

 

 

普通の患者さんならここで、「普通の捻挫でしょう。」と言って帰ってもらうところですが、彼の場合はそうはいきません。

 

なぜなら、2度目の怪我であり、その上、バキッと音がしたと本人が言っているからです。

 

 

今回のように本人が体から音を感じた時は、ひどい怪我をしている事がよくあります。

 

スポーツ選手は1日でも早く復帰したいと願っていますから、この状態で「何かあったらまた来てね。」とは言えません。

 

 

それに、レントゲンは大ざっぱな検査ですから、細かな異常は分からない事も多いのです。

 

そこで今回はCTとMRIの検査をして

もう少し詳しく調べる事にしました。

 

 

すると、今回のケガは捻挫ではない事が分かったのです。

 

参考記事

レントゲンとCTとMRIの違いとは?!整形外科の画像検査を医者が徹底比較!!

 

 

 

足首の靭帯について少しだけ復習

ここで先の話が分かりやすくなるように、靭帯について少しだけ復習しておきます。捻挫というのは靭帯が損傷した状態です。

 

ひどい捻挫をして靭帯が切れる事と靭帯断裂と言います。

 

 

そして、靭帯は骨と骨をつないで関節を安定する役割をしているのでした。

 

参考記事
▶足首捻挫の治療を2週間しても治らない時の対処法とは?医者が脛腓靭帯損傷を解説

足首の靭帯以外のものが壊れる時もある

 

 

ここからは図を見ながら説明したいのですが、この骨‐靭帯‐骨のつながりに強い力が加わって、靭帯をケガしてしまうというのが今までの話でした。

 

 

脛腓靭帯が損傷している図 脛腓靭帯が黄色の矢印の部分で損傷している

脛腓靭帯が損傷している図 脛腓靭帯が黄色の矢印の部分で損傷している

 

 

しかし、実は同じような力の加わり方でも靭帯が切れない場合もあるのです。

 

今回の場合がまさにそうだったのですが、靭帯が切れる代わりに靭帯がついている骨の部分が靭帯と一緒になってはがれてしまう、そんな場合もあるのです。

 

これを剥離(はくり)骨折と呼びます。

 

 

脛腓靭帯の剥離骨折の図 黄色円の部分で靭帯の付着部から骨がはがれてしまう

脛腓靭帯の剥離骨折の図 黄色円の部分で靭帯の付着部から骨がはがれてしまう

 

 

彼の2日目のケガは捻挫ではなくて骨折なのでした。

 

参考記事

▶足首捻挫の治療を2週間しても治らない時の対処法とは?医者が脛腓靭帯損傷を解説

 

 

 

脛腓靭帯損傷の落とし穴とは

これがまさに足首捻挫の落とし穴です。捻挫だと思っていたのが骨折だった。この状態はかなり問題です。なぜなら治療の方法が全く違ってくるからです。

 

 

捻挫であれば2-3週間程度の保存療法(手術しない方法)で復帰できることが多いですが、脛腓靭帯の剥離骨折は手術が必要な事が多いのです。

 

ですから、どんなに待っても治癒しないので、サッカーをすると痛くなり満足なプレーはできないし、病院に行ってもレントゲンでは分かりにくいから捻挫としか言われない。そんな悪循環にハマってしまい、貴重な現役時代の時間を奪われます。

 

 

ですから、この脛腓靭帯損傷が疑われて、思ったように治ってこない場合は、CTとMRIを撮影してもらって下さい。

 

剥離骨折もレントゲンで分かる事が多いですが、脛腓骨折の様に分かりにくい場所もあるので、そんな時は詳しく検査する必要があります。

 

参考記事

▶足首捻挫の治療を2週間しても治らない時の対処法とは?医者が脛腓靭帯損傷を解説

 

 

 

まとめ

今回は脛腓靭帯損傷の落とし穴についてお話ししました。

 

レントゲンで問題がないと言われたからといって安心せず、思った様に治ってこない場合はCTやMRIの検査をすべきです。

 

 

状況によっては貴重な時間を失う場合もあるのでここは妥協してはいけないところ。場合によっては違う医者に相談してみる勇気も必要でしょう。

 

 

例の大学生はその後に手術を行い、今は元気にサッカーができる様になりました。そして、私の目の前で同じようなシュートブロックをして、ヒヤヒヤさせましたが、何事もなくプレーを続けられました。

 

 

 

それでは今回はこの辺で失礼します。ありがとうございました。

 

 

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プロフィール

はじめまして、かじです。私はアスリートを目指していましたが怪我で諦めました。その後、スポーツドクターを志し、現在はアスリートからスポーツ愛好家の方々の怪我を治すのはもちろん、彼らの能力が最大限に発揮されるようにサポートしています。私自身がアスリートを目指していましたし、現在まで多くのプロ選手をサポートしてきたので、スポーツドクターの視点から選手がステップアップするためのヒントをお伝えすることができます。ですから、怪我をしている時はもちろんのこと、怪我をしていなくても私が伝えられることは沢山あるのです。そして、私はアドバイスをする時は、現役時代だけではなくその人の人生全体を見た時にどうするべきかという視点を大切にしています。壁にぶつかったり、行き詰ったりしていて、何かヒントが欲しい時は気軽にお問い合わせ下さい。そうすることできっと前に進めるはずです。 ⇒詳しくはこちら

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