こんにちは、かじです。
今回は前回に続いて足首骨折についてお話しします。今回焦点を当てるのは骨折後の治療について。骨折してからの応急処置や診断はきちんとしたがその後はどうしたらよいのか分かりませんよね。
ですから、今回は骨折と診断されてから、私がどのような考えで治療法を選択しているのか。そういう内容をお話ししていきます。そして、最後には怪我の後遺症を残さない為のヒントを書いていますので参考にしてみて下さい。
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目次
足首骨折の治療期間とは
さて、足首骨折と診断された後は、いったいどんな治療をするのでしょうか。始めに、骨折全体の治療方針について簡単に解説していきます。
どんな部位の骨折でも、治療方針は2パターンに分けられます。
それは、
- 保存療法(手術をしない固定する方法)
- 手術
の2つです。
保存療法というのは手術をしないで治す事なので、
- ギプス
- シーネ(あて木)
を使って骨折した部位を固定します。
手術は骨折の状況によって判断する事になりますが、一般の人とスポーツ選手とでは考え方が違います。今回は一般的な考え方をお話ししてから、選手の場合はどのように考えるのかについてお話ししていきます。
それでは始めていきましょう。
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足首骨折が腫れる理由とは
まずは一般的な骨折の手術について考えていきます。
骨折に関してはどこが折れているかで大きく方針が変わります。その中でも関節を作っている部位が骨折していると多くの場合は手術が必要をなりますので、
- 関節面(関節がある面、もしくは軟骨のある場所)
- それ以外
のどちらが骨折しているかを確認します。ここでは、まずは単純な骨折から解説していきます。関節面以外の骨折からです。
普通、私が骨折に対して手術をするかしないかを決める時は、骨折した部位の転位(ずれ)がどのくらいあるかをレントゲンで見ます。そのずれが大きければ手術するしかないよね、という話になるのです。
では、そもそも骨折に対してなぜ手術が必要なのでしょうか?できれば、手術はしたくありませんよね。しかし、どうしても手術が必要である理由を知れば、手術に対して向き合う事ができるかもしれません。
では始めていきます。そもそも骨折した骨は普通は自然治癒能力でくっ付くので、私はそのお手伝いをするだけです。しかし、その自然治癒能力が発揮されるのには条件があって、その条件が満たされない場合に、仕方がなく手術に踏み切る訳です。
その条件とは、骨折した骨同士が接している事です。もっと詳しく言うと、骨折した面同士が接している必要があります。この骨折した面の事を、骨折面と言います。
つまり、骨折面(骨折した部位)が接していさえすれば、骨は自然にくっ付くのです。
しかし、中にはひどい骨折で下の図のように骨折面が接していないものもあります。こうなってしまうといかに自然治癒能力があっても骨は付きません。
ですから、離れた骨を骨折前に近い場所に近づけてあげるのが手術の役割で、そこから先は自然治癒能力で勝手にくっ付くのです。
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足首骨折の後遺症とは
続いて関節面についてです。関節面とは関節を作る部分の事で、ここには普通軟骨があります。この軟骨のおかげで普段は関節が滑らかに動くので、この部分の骨折は上で説明した他の部分の骨折よりも厳しく対応します。
下の図は膝の関節ですが、水色の部分が関節面(軟骨面)で、この部分の骨折には十分な注意が必要です。
関節面の骨折では、転位(ずれ)が大きいと滑らかな動きができなくなってしまいます。ここに段差ができてしまうと、動かすたびに反対の軟骨が傷つき、すり減っていきます。
この様な状態になるとスポーツをするどころではありません。日常生活の中でも痛みが出てしまうので見過ごす事はできません。
この関節面の骨折関しては、ほとんどの場合は2mm以上のずれがあれば手術をする事が多いのです。(※関節の部位によって異なる事もあります。)
ここまで、一般的な手術適応の話をしてきました。そして、ここからはスポーツ選手の場合はどのように考えるかをお話ししていきます。
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足首骨折で歩けるようになる時期を早める場合
ここからは選手が骨折した場合の考え方についてです。
選手の場合はできるだけ早く復帰する事が何より優先されますから、基本的には骨折したら手術する事をお勧めします。
それには2つ理由があります。
- しっかりと固定できる⇒再発予防
- リハビリを早く始められる
の2つです。
これから、この2点について説明していきます。
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なぜスポーツ選手は手術をした方がいいのか
選手が手術をした方が良い理由の1つは、手術で骨折部をガッチリと固定できるからです。
医学用語では「内固定」と言いますが、その名の通り手術で体の中に金属を入れて骨を直接固定します。
(※それに対して、「外固定」というのはギプスのように体の外で固定する事。もちろん、内固定の方が骨を直接固定するので固定力は強力。)
もしも手術をしないで治療をした場合は、
ある程度骨がくっ付いてからリハビリを開始します。
しかも、
「ちゃんと付いてるかな?」
「このくらいだったら動かしていいかな?」
と不安を抱きながらリハビリをする期間が2ヶ月ほど続きます。
その2か月間は探り探りなので、もちろんリハビリで運動強度を上げる事はできません。ただでさえ運動不足になるこの期間が長ければ長いほど、選手にとってのマイナスは大きいのです。
しかし、手術をしていればそのような心配はなく、骨がくっ付いていなくても金属で固定しているので、安心してリハビリの強度を上げる事ができます。つまり、骨がくっ付くのを待たずにある程度のリハビリはできるのです。
もちろんやりすぎたら金属が壊れて大変な事になりますが、普通はその前には痛みが出るので、そこまでやれる選手はいないので安心です。
このように、怪我をしてからの約2ヶ月間のリハビリを安心して計画通りできる、というの意味では手術をした方のメリットが大きいと私は考えます。
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まとめ
ここまで、足首骨折の手術適応についてお話ししてきました。
一般的には骨折は、
- 関節面
- それ以外
に分けて考えます。
関節面は基本的に2mmの転位がある場合は手術適応でした。
またスポーツ選手の場合は、
- しっかりと固定できる⇒再発予防
- リハビリを早く始められる
の2点から手術をした方がメリットが大きいと考えます。
早く復帰したいと考えるのであれば、ただ骨が付けばよいのではなく、その間に体力を落とさない方法を選択する必要があります。
そういう意味でも安心して計画通りにリハビリを進められる様に手術を選択した方が良い場面は多いでしょう。
もちろん、状況はそれぞれですので担当の先生と十分に話し合って納得のいく方法を選択してください。
それでは今回はこの辺で失礼します。ありがとうございました。