膝の軟骨損傷は再生しないのか?医者が変形性膝関節症の進行を防ぐ方法を解説

08.052015

この記事は4分で読めます

こんにちは、かじです。

 

今回は軟骨のすり減りを防ぐ方法を膝を例にしてお話しします。体の中で再生しないものの1つが軟骨です。一度痛めてしまうともう元には戻りません。

 

これは意外と知られていなく、痛めてからこんなはずではなかったと後悔する事になりますので、ぜひこの記事で基本的な考え方を知っておいてください。

 

参考記事

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軟骨のすり減りは予防できるのか?

これまで何回も登場した変形性膝関節症ですが、これは軟骨がすり減って痛みが出るのでした。この軟骨がすり減る変化は退行性変化(たいこうせいへんか)と呼ばれます。

 

退行性変化とは、年齢による変化の事で、歳を取れば誰でも起こる変化です。

 

 

しかし、診察室で出会う患者さん達の膝の軟骨は同じ年齢であっても様々。

 

同じ60歳の女性でも、もうほとんど軟骨がなくて、こりゃ痛いだろうなという人から軟骨はほぼ完ぺきで何の問題も無い人まで。

 

同じ時間を生きてきたのにどうしてここまで差ができたのか不思議ですよね。

 

 

そこで今回は、軟骨に良い言われている運動や食べ物を取り上げ、噂か真実かを検証していきます。

 

この記事を読んだ後には、情報に振り回されない目が見に付いているはずです。

 

参考記事
膝の軟骨損傷は手術で再生するのか?痛みへの治療と予防法を医者が解説

 

 

軟骨のすり減りが加速する行動とは?

さて、先ほどお話ししたように軟骨は年齢によって少しずつすり減っていきます。ほんの少しの差が10年20年の差になって現れてくるのです。

 

では、軟骨のすり減りを加速する原因はどんな事でしょう。

 

  • 体重増加
  • 過度の運動
  • 怪我

 

この中で、怪我は例外的です。怪我では1回のダメージで軟骨がやられます。はがれてしまうという表現の方が近いかもしれません。

 

この場合は不可抗力なので仕方がないですが、軟骨は怪我でもダメージを受ける事は知っておいてください。

 

参考記事

足首の関節がゴリゴリ鳴る痛みは治療で完治するのか?医者が詳しく解説

 

 

 

軟骨の最大の敵とは?

そもそも、怪我以外で軟骨がダメージを受ける原因とは何でしょう。良く言われるように、

 

  • 体重増加
  • 過度の運動

 

は軟骨に高い負荷がかかる為に良くないとされています。

 

 

軟骨の最大の敵は地球にいたら絶対に避けられないもの、そう、重力です。

 

軟骨はいつでも重力によるダメージにさらされているのです。普通に生活していても、一歩ずつ歩くたびに軟骨は小さな衝撃を受けています。

 

その衝撃の積み重ねが軟骨を擦り減らせていくのです。

 

 

 

 

体重が増えれば一歩一歩の衝撃が強くなり、速く走れば一歩一歩のダメージは強くなります。そういった小さな積み重ねが軟骨のすり減りを早くしているのです。

 

 

仮に宇宙で過ごしたら重力はないので軟骨にはダメージが無いはずです。(※もちろん、身体の他の部分には悪い影響があります。)

 

参考記事
膝の軟骨損傷は手術で再生するのか?痛みへの治療と予防法を医者が解説

 

 

 

軟骨に最も悪いスポーツとは?

今まで証明されている中で、軟骨に最も悪いと言われているスポーツとは何でしょうか?

 

軟骨へのダメージが最も大きいスポーツ。一歩一歩のダメージは小さくても積み重ねが大きいスポーツ。膝周囲の筋力が疲れきって、軟骨への衝撃が増しても走り続けるスポーツ。

 

 

勘のいい方なら分かった筈です。それは、マラソンです。

 

 

 

 

とにかく、マラソンは軟骨に悪い事この上ありません。硬いコンクリートの上を長時間走るのも良くありません。

 

数キロのジョギングをする程度であれば問題ありませんが、ただ健康の為にするのであればマラソンは負荷が高すぎます。実際に私も一度だけフルマラソンにチャレンジした事がありました。

 

今から8年前の事ですが、その時は何とか無事に完走できました。確かに完走した後の達成感はすごいので、またやりたくなる気持ちは分かります。

 

 

しかし走り終わった後、身体の隅々が筋肉痛で次の日はちょっとした段差を上るのさえ難しい状況でした。それを思い出すと、身体への負荷が高すぎる事を認めざるを得ません。やはり、何でもやりすぎには注意です。

 

参考記事

足首の関節がゴリゴリ鳴る痛みは治療で完治するのか?医者が詳しく解説

 

 

 

サプリメントの真実とは?

軟骨と言えばサプリメントがすごい数売られています。

 

  • ヒアルロン酸
  • グルコサミン
  • コンドロイチン

 

等、例を挙げればキリがありません。

 

 

 

しかし、このサプリメントは本当に軟骨に効くのでしょうか?

 

私の個人的な見解としては、「思ったよりも効きませんよ。」というものです。確かに全く効かないという事は無いでしょう。

 

 

しかし、サプリメントの広告はイメージが実際と違うなという印象なものが多いです。つまり、言い過ぎだなと。

 

 

どういう事か説明しますと、まず、食べた物は消化されて小さく分解されて、体内にまんべんなく吸収されます。

 

先ほど挙げた

  • ヒアルロン酸
  • グルコサミン
  • コンドロイチン

なども一度はアミノ酸という小さな物質にまで分解されて吸収されます。(※アミノ酸とは、筋肉など身体を作る材料で、たんぱく質が分解されたものです。)

 

 

CMなどを見ると、食べたサプリメントがそのまま軟骨の材料になっている様に勘違いしそうです。

 

しかし、実際はアミノ酸まで分解されて、軟骨の材料として使われるのです。つまり、具体的にはヒアルロン酸を食べても、アミノ酸まで分解された後にもう一回身体の中でヒアルロン酸を作る材料になるだけです。

 

例えば、サプリメントを10g食べたら、CMでは10g全てが膝の軟骨を作るのに使われている様は印象ですが、実際は膝の軟骨に使われるのは1gもない、という感じではないでしょうか。

 

 

そういう状況も踏まえると、「思ったよりも効きませんよ。」と言わざるを得ません。

 

 

アミノ酸であれば、

  • 大豆

などのたんぱく質を食べていれば十分に摂取できます。

 

参考記事
膝の軟骨損傷は手術で再生するのか?痛みへの治療と予防法を医者が解説

 

 

 

まとめ

ここまで、軟骨に悪い行動は、

  • 体重増加
  • 過度の運動

で、特にマラソンは最も良くないスポーツだと言いました。

 

また、サプリメントは思ったほど効果はありません。

 

 

軟骨は再生しませんので、すり減ってから慌てるのでは遅いのです。

 

軟骨を守る意識というのは非常に大切で、人生の後半を痛みが無く楽しく過ごすには軟骨が十分に残っている必要があります。

 

その為には軟骨がすり減る前から軟骨を意識する事、そして、すり減ってきても軽症の時に治療を始めるのがポイントです。

 

膝が痛くなってきた時にはぜひ早めに医者に相談して下さい。

 

 

ありがとうございます。それでは今回はこの辺で失礼します。

 

 

 

 

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プロフィール

はじめまして、かじです。私はアスリートを目指していましたが怪我で諦めました。その後、スポーツドクターを志し、現在はアスリートからスポーツ愛好家の方々の怪我を治すのはもちろん、彼らの能力が最大限に発揮されるようにサポートしています。私自身がアスリートを目指していましたし、現在まで多くのプロ選手をサポートしてきたので、スポーツドクターの視点から選手がステップアップするためのヒントをお伝えすることができます。ですから、怪我をしている時はもちろんのこと、怪我をしていなくても私が伝えられることは沢山あるのです。そして、私はアドバイスをする時は、現役時代だけではなくその人の人生全体を見た時にどうするべきかという視点を大切にしています。壁にぶつかったり、行き詰ったりしていて、何かヒントが欲しい時は気軽にお問い合わせ下さい。そうすることできっと前に進めるはずです。 ⇒詳しくはこちら

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